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カスタマーレビュー ![]()
ホラーではないキング
(2007-03-03)
キングのマスターピースの一冊である。
この本はホラーではない。一人の女性が 人生の困難に立ち向かい 子供を守っていく感動的な話である。彼女が夫を殺害する場面だけが 一種のサスペンスだが それ以外は 老女が淡々と語る自分の人生だ。
キングはホラー作家であるわけだが その小説は時として 非常に感動的である。本書を含めて 幾つかの作品は読んでいて泣いてしまうこともある。その高い文学性こそが キングを読む魅力だ。キングは ホラーという舞台装置を借りながら 実際に語っているのは「人間」である。その意味で ホラーではない本作も 正しくキングの本流の一冊だ。
マイベスト
(2006-06-01)
これは驚愕のミステリーだ。
読み進むうちにこんな悲惨な人生って・・と、ただ戦慄する。そして嫌な気持ちになる。でも、どうしても目が離せない。そのうちドロレスがいとおしくなり、下品な老婆なのにとても凛として美しいと感じ、終盤では全く違和感のないストーリー展開だと思えてくる。
これはホラーではない。人生の真実の物語だ。
人は多かれ少なかれ苦しみを背負っている。ドロレスの様な人生は特殊ではない。現実に多く存在するだろう。そして、困難に立ち向かうか、諦めるかの選択があり、多くの人々は諦めて表面上安易な道を選ぶ。
彼女が美しいのは立ち向かう勇気を持っているからだ。
キングの作品には非現実的な恐怖を扱ったものも多く、そちらも素晴らしい。しかし私は、この作品とか、世の中が「不正」という物で成り立っていると思い出させてくれる「刑務所のリタ・ヘイワース」などに、より心を揺さぶられる。
苦労人キングは教えてくれる。
人生いたるところに青山あり、は真実だが、逆もまた真なり、である。
うまくバランスをとって、自分が壊れないようにしていくしかないんだよ、と。
そういうわけで、「ドロレス」は私のベストオブキンズノベルズなのである。
ドロレス
(2006-05-05)
文春の煽り文句は間違っている。
ドロレスは虐げられてなどいない。
戦っているだけ。
聴取のため、小部屋の中で語るドロレスの下品で美しい言葉が素晴らしい。
亡き母へ贈るrequiem
(2005-09-18)
この作品を手に取るのが遅れたのは、主人公Dolores Claiborneの英語が余りにもすさまじく訛ったものなので、英語力の貧弱な私にはちょっと敬遠すべきかな、と考えたからだった。しかしこの作品をわざわざ亡き母親に捧げた、と読み終えてから知って、自分が浅薄であったと感じた。もっと早く読んでいてもおかしくない作品だったのだ。主人公の背景からして教養の高くない女性と言うこともあって、Kingの他の作品ほど難しい単語が使われている訳でもないし、更にKingとしてはかなり短めの長編小説だからである。つまりかなりとっつき易い作品だったのだ。
この作品は全く怖くない。確かに残虐な部分はあるのだが、何よりもKingが訴えたいことが母親の子供たちに対する愛情であって、全篇をそれが覆っている。その意図からすれば、DoloresがJoeに対して行なった仕打ちも当然の帰結であり、読者の共感も得られるのではないだろうか。また同じEclipseを取り扱った‘Gerald's Game'に比べると、展開もすっきりしているし、後味も悪くない。
Kingは幼い時に父親が何処かに出て行ってしまい、その後はRuthが女手一つで兄と彼を育てたと言うのは有名な話である。そんなKingがDolores Claiborneと言う女性を創造して、母への感謝を表したと言うことなのだろうか……
ドロレスが、耳元に語りかけてくる。
(2005-01-05)
事情聴取のため、小部屋に通されたドロレス。
そこには彼女を含めた4人しかいません。・・・が、読んでいる私やあなた自身にも彼女は語りかけてきます。
老女特有の話し方でありながら退屈させることなく、淡々と自らの半生を。
彼女の口からは、「ドロレス・クレイボーン」という名を持つ少女、女性、妻、母親、使用人としての自分自身に何が起きたかが語られます。
・・・と、ここまで読んで老女の半生の何がそんなにおもしろいんだい、とお思いになる方もいるはずです。
しかし、スティーブン・キングの手にかかればおもしろいのです。
私自身「スティーブン・キング、ばぁさんの話なんて書いてどうしちゃったの?」と半ば馬鹿にしながら手に取った本でしたが、読み終える頃には深く反省。
「やっぱり、スティーブン・キングはおもしろいや!」
笑いあり、涙ありで大満足できることをお約束します。
多少下品な記述もありますが、そこがまた人間くささを感じられていいんですよねぇ。
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